コラム

2017.6.1

デジタル動画の新たなムーブメント

 昨今、あらゆるスクリーンやデバイスから動画視聴が可能になり、デジタル動画の爆発的な成長は予測されていましたが、まさかこんなにも早く、生活者が360 度動画を自身のモバイルで毎日視聴し、モバイルがデスクトップを凌駕するとは、誰も想像できなかったのではないでしょうか。

 どのようにして動画の視聴が爆発的に伸びたか、また広告主やパブリッシャーが 2017 年にデジタル動画を最大限活用するために何を知るべきか、生活者行動と業界分析に関するAOLの新しいグローバルリサーチから明らかにしていきたいと思います。

 現在、デジタル動画は生活の一部となっています。世界中の生活者の 78% が毎日動画をオンラインで視聴し(全てのデバイスを含む)、66%が1 年前に比べより多くのオンライン動画を視聴しています。

モバイルが動画市場の成長を加速

 モバイル動画の成長スピードは衰えず、常にモバイルが手近にある生活者は77%にのぼります。その一方、モバイルとデスクトップは動画視聴用デバイスの座を毎年のように争っています。生活者の80%がモバイルで週 1 回以上動画を視聴しているのに対し、85%がデスクトップやラップトップで週1回以上動画を視聴しています。

 また、業界はモバイルへの投資を継続し、広告主の47%および、パブリッシャー 57%が、 2017 年にはモバイル動画への投資を少なくとも 25% 増加させる見込みです。順調に成長を続ける一方、長い読込時間という未だ解決できていない課題もあります。広告主の34%が、長い読込時間を理由にモバイル動画広告への支出を減らしており、46%がモバイルでの動画広告の読込時間を減らすために、高速で読込が可能なより軽い広告を作ることに注力しています。

検索やソーシャルネットワークが加速させるデジタル動画の視聴

 マーケターは流通戦略を広げ、オンライン体験全般において視聴者とエンゲージしており、これはかつてないほど重要になっています。生活者が検索(57%)やソーシャルメディア(37%)、シェア(37%)によってオンライン動画に誘導される割合は以前よりも高く、いずれもパブリッシャーのウェブサイトで動画を直接見つける割合(19%)より高くなっています。

 日本では、検索(61%)が最も高く、レコメンド(33%)、シェア(28%)の順となっており、パブリッシャーのウェブサイトで動画を直接見つける割合(13%)は、グローバルの結果同様、最も低い数値となっています。

マイクロ動画コンテンツが急増

 オンラインで生活者が集中できる時間は短くなっています。あらゆる長さのオンライン動画視聴が増えていますが、中でも短尺動画のシェアに関する伸びが最も顕著です。

 生活者の60%が1分未満の動画を週に1回以上視聴し、63%が1~5分間の動画を週に1 回以上視聴しています。動画が長くなるにつれ、視聴者の数は減少する傾向があります。

  • ・週に1回以上 6~9分間の動画を視聴:55%
  • ・週に1回以上 10~20分間の動画を視聴:47%
  • ・週に1回以上 20分間以上の動画を視聴:48%

日本ではグローバルに比べ、全体的に視聴者の数が少ない傾向にあります。

  • ・週に1回以上1 分未満の動画を視聴:36%
  • ・週に1回以上1~5分間の動画を視聴:44%
  • ・週に1回以上6~9分間の動画を視聴:31%
  • ・週に1回以上10~20分間の動画を視聴:28%
  • ・週に1回以上20分間以上の動画を視聴:38%

TV からデジタルへシフトし続ける動画広告の予算

 広告主は、 TV の予算を削減し、デジタル動画の予算を継続的に増加しています。放送・ケーブル TV の予算を減らした広告主の 70% が、それにより生じた余剰分をデジタル動画に投下しています。また、広告主はモバイルに多額の資金を投入し、 63% が予算をモバイル動画にシフトさせています。

 マーケターは楽観的な予想をしています。広告主の55%が、 2017 年にはブランド動画コンテンツが最大の収益を生み出すと考えています。さらに、52%は1~5 分の動画が、 50%は新しいフォーマット(360 度や VR、 AR)が、最高の収益源になると考えています。

 生活者がラップトップや電話、コネクテッド TV で動画を視聴するようになり、従来の動画からデジタル動画へのシフトは、もはや当たり前のこととなりました。生活者の64%が、柔軟な視聴環境という理由で、オンラインやコネクテッドTVで動画を視聴しています。56%がより便利である、 55% がお金の節約になる、と述べています。

 日本で最も多い理由は、お金の節約になる(63%)となっており、柔軟な視聴環境(60%)、より多くのコンテンツ(60%)と続きます。

今年はライブ動画が主流に

 生活者の55%が、ライブ動画を1週間に1回以上視聴しています。そして、 66% がモバイルでライブ動画コンテンツを見ています。主に、ライブニュース(60%)、ミュージックイベント/コンサート(49%)、スポーツイベント(47%)を見ているという結果となりました。

生活者は没入型動画に興味を示している

 今年は、 バーチャルリアリティ(VR)の生活者需要が高まる年になるでしょう。生活者の48%が、 VR 動画を最低でも 1 度は見たことがあります。そして VR 動画を視聴する生活者の 32% が、モバイルを使用します

どのような動画コンテンツをバーチャルリアリティ(VR) で見たいか、という質問に対する回答は以下の通りです。

  • ・エンターテイメント(映画・ TV):45%
  • ・バーチャルツーリズム(仮想旅行):38%
  • ・科学や自然に関する動画:34%

日本では、以下の回答となっています。

  • ・エンターテイメント(映画・ TV):54%
  • ・ニュース:38%
  • ・スポーツ/コンサート:35%

 また、「バーチャルショッピング」に関しては、グローバルで 22%、日本では19%とほぼ同水準の回答結果となりました。

 広告主は、バーチャルリアリティ(VR) が増加し続けると予想しています。広告主の65%が、「デジタル動画市場には VR の入り込む余地がある」という考えを持っており、60%が現在 VR を購入しており、今後 12 カ月間継続する予定またはその計画があると回答しています。

生活者が求める動画広告は、エンターテイメント性があり、自分自身に関連性があるもの

 1分以下の動画に関して、 生活者の71%が、プレロール広告は15 秒未満が適当だと考えています。一方、 30~60秒のプレロール広告が適当だと考えているのは、わずか7%だけです。

 日本では、1 分以下の動画に関して15秒未満のプレロール広告が適当だと考える生活者は85%にもおよび、30~60 秒のプレロール広告が適当だと考えているのは、わずか2%です。

 10分を超えるより長い動画に関しては、 生活者の37%が、プレロール広告として少なくとも30秒の長さを期待しています。一方日本では、生活者のわずか15%しか30秒のプレロール広告を受容しないという結果となっています。

 生活者の54%は、動画広告自体が面白ければ、広告が流れることを気にしておらず、51%は、自分自身と関連性のある製品やサービスを含んだ動画広告を邪魔なものだとは考えていません。また、見ている広告を自分でコントロールしたいと思っており、生活者の70%は、「自分がどの広告を見るのかを何らかの形でコントロールしたい」と考えています。

 生活者の61%以上が、バッファリングによる中断が 2 回あると動画視聴に関心を無くし、3 回目の中断で81%が視聴を終了してしまいます。

 日本では、バッファリングによる中断が2 回で75%、3回で86%が視聴を終了すると回答しており、グローバルより高い結果となっています。

ソーシャルメディアと品質がデジタル動画の成長をけん引

広告主とパブリッシャーが考える、動画の成長をけん引する最も重要な要素は、以下の2点です。

  • ・広告主の47%、パブリッシャーの53%が、「より質の高いクリエイティブであること」がデジタル動画広告の成長をけん引する最も重要な要素であると回答しています。
  • ・広告主の46%、パブリッシャーの50%が、「ソーシャルメディア」が動画の成長をけん引する最も重要な要素であると回答しています。

最大の課題である、品質と読込時間

 順調に成長を続けるデジタル動画市場ですが、いまだ解決すべき課題はいくつも残っています。広告主が認識しているデジタル動画の最重要課題は、以下の通りです。

  • ・生活者体験の質:22%
  • ・プレミアム動画コンテンツの制作に必要なコスト:19%
  • ・ネットワークトラフィック/視聴者:18%

日本での結果は、以下の通りです。

  • ・購入の複雑さ:23%
  • ・購入プロセスの不透明さ:23%
  • ・プレミアム動画コンテンツの制作に必要なコスト:20%

また、パブリッシャーが認識しているデジタル動画の最重要課題は、以下の通りです。

  • ・プレミアム動画コンテンツの制作に必要なコスト:40%
  • ・対応しなくてはいけないプラットフォームが多すぎること:38%
  • ・プレイヤーの技術が遅れていること:31%

日本での結果は、以下の通りです。

  • ・プレイヤーの技術が遅れていること:38%
  • ・プレミアム動画コンテンツの制作に必要なコスト:37%
  • ・広告へのエンゲージ不足:34%

プログラマティック動画への支出が増加する一方で、残った課題

広告主の77%、パブリッシャーの81%が、今後プログラマティック動画広告への投資を増やしていく計画です。広告主は、動画広告予算の 41% をプログラマティック動画の購入に充てています。

また、パブリッシャーの80%が、「より多くの広告主の需要へのアクセス」がプログラマティック動画の最大の利点であると認識しており、業界には楽観的な傾向が見られます。一方日本では、「CPM(Cost Per Mille)の高さ」が80%で最も多い回答でした。

しかし、広告主やパブリッシャーは、依然としていくつかの課題を感じています。

広告主が認識している最大の課題は、以下の通りです。

  • ・既存のプロセスやシステムへの統合:57%
  • ・安全と品質への懸念:54%
  • ・動画広告制作の困難さ:53%

また、パブリッシャーが認識している最大の課題は、以下の通りです。

  • ・ブランドセーフティの懸念:45%
  • ・既存のプロセスとシステムの不足:44%
  • ・広告主との直接の関係を失うリスク:42%

日本における広告主の課題はグローバルとほぼ同様であるのに対し、パブリッシャーの課題は以下の通り、グローバルと異なる結果となっています。

  • ・コンテンツのコモディティ化へのリスク:59%
  • ・経験不足:55%
  • ・ブランドセーフティの懸念:45%

業界では新しい動画フォーマットに関して楽観的

 広告主の50%は、「新しいフォーマット」が 2017 年の最大の収益源になると予測しています。新しいフォーマットとは、 360 度動画、バーティカル動画、 VR、 AR、アウトストリームなどです。これらの新しいフォーマットに限った場合、広告主とパブリッシャーは 360 度動画(58%)が 2017 年の最大の収益源であり、その次に VR (40%)が続くと考えています。

 ではなぜ、パブリッシャーは新しいフォーマットに投資するのでしょうか? パブリッシャーの58%が、より良い生活者体験を提供したいと考えており、54%が新しいインベントリーを探しています。

 日本では、パブリッシャーの51%がより良い生活者体験を提供したいと考えており、50%がより高いCPMで請求できること、を挙げています。

広告主は、ブランド動画への投資を続けるが、今年は評価手法の懸念が増大

 広告主の40%が、現在ブランド動画に投資しており、これを継続する意向を示しています。

 広告主は、動画の最大の収益チャンスを、ブランド動画コンテンツ(55%)、 1 分~ 5 分の動画(52%)、 360 度動画、 VR、 ARなど新しいフォーマット(50%)であると考えています。一方日本では、1分~5分の動画(59%)、1分以下の動画(58%)、360 度動画、 VR、 ARなど新しいフォーマット(48%)、ブランド動画コンテンツ(47%)となっています。

 ブランド動画の評価方法や品質には懸念も存在します。広告主の42%が、ブランド動画を購入の際、「コンテンツの質」を最大の課題として挙げています。また41%が、「価格/コスト」だと述べています。一方日本では、広告主の67%が「価格/コスト」を最大の課題として挙げており、53%が「コンテンツの質」と回答しています。

業界全体として「広告の将来はデジタル動画」で一致

 広告主の65%が、デジタル動画こそが広告の将来であると考えています。また、68%が、「将来の自社の広告の取り組みにおいて、デジタル動画の重要性について理解している。」という考えを示しています。

《ご注意》
本発表内容には、将来に関する記述が含まれています。こうした記述はリスクや不確実性を内包するものであり、経営環境の変化などにより実際とは異なる可能性があることにご留意ください。また、本発表資料は、日本国内外を問わず一切の投資勧誘またはそれに類する行為を目的として作成されたものではありません。