コラム

2015.5.20

AdExchanger主催 “Programmatic I/O”
in San Franciscoレポート
~“Buzz word”は「テレビ」と「ビデオ」~

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AOLプラットフォームズ米国ビバリーヒルズ・オフィス在籍、荒井容子より参加レポートをお届けします。

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今回で第5回目となるProgrammatic I/Oは、750名の広告主、マーケター、広告代理店、メディア、テクノロジープロバイダーが参加。第1回に比べ15倍もの参加者数がチケット販売開始後早い時点で定員に達した状況からも、ここ数年でのプログラマティック広告の急速な広がりと業界での強い関心が見て取れた。

また本イベント先駆けて主催者が実施したProgrammatic Media Surveyへの参加者も、大手クライアントやそのマーケターなどが中心。昨年の調査参加者の大半がニッチなマーケターだった状況からの急激な変化を見ても、この1年でプログラマティック広告がインターネット広告の一般的な広告出稿および販売手法となって来ていることを表している。

現時点でのプログラマティックへ投下している広告予算の比率、およびこの先1年の予算のシフト比率は昨年よりも緩やかな傾向をみせてはいたものの、引き続きプログラマティック広告への強い関心、前向きな取り組みを示す回答結果が出ていた。

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“Buzz word”は「テレビ」と「ビデオ」

インターネット広告のプログラマティックへのシフトが本格化する中、今回のイベントでの中心トピックスはテレビ及びビデオ広告におけるプログラマティックの実現。

テレビ広告予算のデジタルへのシフトが加速し、今後 双方にバランス良く広告予算を投下し効率的にマーケティングを行っていくことが鍵となる中、テレビ広告、ビデオ広告へのプログラマティックな出稿を可能とするサービスが紹介される一方で、ビジネスモデル(コンテンツ運用およびデータ保有権利等含む)や広告効果計測手法等の全く異なるテレビ(Planned media)と インターネット(Unplanned media)をどのように結びつけ運用を自動化していけるか、またそれらを横断したマーケティングデータの活用手法や総合マーケティングプラットフォームの構築がこれからの大きな課題として、ビデオ、モバイル(クロススクリーン)、アトリビューション等の様々なトピックスの中で議論された。

Programmatic TV is Here, And It’s Working! - ONE by AOL: TV

2013年以降、インターネット広告のエコシステム(ecosystem)としてのプログラマティックおよびオートメーションの実現と業界革新を進めて来たAOL。今回のイベントにオフィシャルスポンサー として参加したAOLは、イベント直前の4月14日に発表したCross Screen Programmatic Advertising Platform - ONE by AOLから、テレビ広告へのプログラマティックな広告出稿を可能とする「ONE by AOL: TV」を活用した取り組みとその実績を紹介。

ONE by AOL: TVは、個々のTV番組オーディエンスにおける広告主ターゲットオーディエンスの割合を数値(tRatio)化し、クライアントはその数値を元に同プラットフォーム上でリアルタイムにテレビ広告のターゲットオーディエンスをデザイン、プランニングし、リアルタイムに最適化することが可能というもの。

また、UI上では広告出稿対象番組含む全てのブロードキャスト、ナショナルケーブル、ローカルテレビ番組の数値化されたオーディエンス情報が閲覧できるため、ターゲットオーディエンスの最適化と拡大をよりプログラマティックに効率良く行うことができるのが魅力だ。また、各TV番組の広告スポットがインターネット上のサイトへのアクセス、購買活動に与えたインパクトを可視化したWeb Spike Reportにより、広告主はliner TVとインターネット双方においてのマーケティング活動のつながりをデータという根拠を元に評価することが可能。「テレビとインターネットをつなぐプラットフォーム」として実績を積み重ねている。

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媒体社とプログラマティック

殆どのセッションが広告主やマーケターなど広告出稿側から見たプログラマティックに関する議論、サービス紹介が中心な中、媒体社側のプログラマティック広告への取り組みについてのセッションは興味深いものだった。

当初プログラマティック広告販売は、純広告クライアントやセールス部隊とのカニバリやオークション販売による広告枠単価の下落 、クオリティー管理など媒体社にとっての懸念が多くなかなか受け入れがたいものだったが、それももはや数年前までのこと。セッションに登壇した米国の大手新聞社、ポータル、ECサイト全てが自社広告在庫の大部分(7割〜8割程度)を何らかのプログラマティックな手法で販売。更に従来の在庫 販売ウォーターフォール(1. 純広告/ダイレクトセールス → 2. プライベートマーケットプレース(PMP)& オーディエンスセグメンテーション販売 → 3. PMPを活用したその他取り組み → 4. オープンオークション、等の在庫レイヤー別優先販売)型から、アドサーバや複数のプラットフォームパートナーを活用することでより多くの買い手が全てのレイヤーの在庫オークションに参加できる環境作りにシフトしていると言う。

その流れの中で、Programmatic Direct(プログラマティック販売でありながらも、ごく一部の限られたターゲットへの出稿に対し単価やインプレッションボリュームを保証する販売方法)は現状限られたユーザーカテゴリーに対しての限られたニーズのみへの対応ではあるものの、ダイレクトセールスの場でもしばしば話題に上がり、今後いかに純広告販売と両立し活用していくかが媒体社にとっての新たなテーマのようだ。バイヤー側のプログラマティック広告出稿が多様化する中、媒体社側もプログラマティックな自社広告在庫管理、コントロールが必須となってきている。自社の広告在庫インプレッションを最も評価するバイヤーにその在庫インプレッションを提供できるプログラマティックな在庫管理、販売環境づくりは、今後媒体社の収益性を大きく左右していくものと思われる。

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進化し続けるプログラマティック広告

今回のイベントでは、デジタル広告業務のオートメーション化という意味でのプログラマティック広告は一般化したことが実感できた。一方で、テレビ、オンライン、オフラインなど様々な形式のマーケティングデータをいかにプログラマティックに効率良くつなぎ、信頼性、正確性を伴うマーケティングデータとして活用できる形にしていくかは、プログラマティック広告に参加する全てのプレーヤーに共通した引き続いての課題だ。

また、プログラマティック広告においてのメディアの選択、広告表現方法、 ビュアビリティー含む広告品質管理、アトリビューション等データ活用、安全性や情報の透明性において、どの手法、モデル、データが自社のマーケティングに最も適しているかはそれぞれ異なり、広告主、マーケター、媒体社は常にトライ&エラーを繰り返し最適な手法を確立し続ける必用があると各分野の専門家達は口々に言う。プログラマティックというオートメーション広告をいかに乗り熟すかには、引き続き人の知識や能力が重要でありつづけるようだ。

荒井容子
Senior Manager, Product Strategy, AOL Platforms

《ご注意》
本発表内容には、将来に関する記述が含まれています。こうした記述はリスクや不確実性を内包するものであり、経営環境の変化などにより実際とは異なる可能性があることにご留意ください。また、本発表資料は、日本国内外を問わず一切の投資勧誘またはそれに類する行為を目的として作成されたものではありません。