コラム

2015.5.01

広告業界のオープンな将来
~Advertising’s OPEN Future~

セス・デムシー

セス・デムシー 米国AOL Platforms CTO

技術革新によって広告業界はわずかな時間で変貌を遂げた。モバイルが「次なる目玉」であり、プログラマティック広告がまだ始まったばかりであったのはほんの数年前のことである。今日ではマルチチャンネルキャンペーンやプログラマティックテレビの動向が注目されている。

この業界が向かう先はどこだろうか?消費者の嗜好や習性と同様、広告技術は引き続き進化するであろう。より大きな変化がもたらされることは確実だが、その鍵となる傾向はあまりはっきりとしてはいない。

現在は、測定やリターゲティングのような広告過程の1つの専門サービスのみを扱う、特化したポイントソリューションから、メディアバイイング・運用・キャンペーン最適化などの多様な側面を円滑に行う「プラットフォーム」に移りつつある。様々なツール、アプリやプラットフォームの寄せ集めをなんとか効率よく機能させようと努力してきた広告業者にとって、これは歓迎すべきことである。

しかし、多くのことに言えることだが、悪魔は細部に宿る。

ひとつの基準で全てを間にあわせるという手法でプラットフォームを操作している企業もある。しかし、この手法ではデータを孤立させ、閉ざされたシステムの中だけで所有されるものになってしまう。

それに対して、オープンプラットフォームを利用している企業では、自社のプラットフォームに第三者がプラグインすることができる。これらのプラットフォームは、マーケターやそのビジネスの成功を制限するものでなく、彼らが選んだテクノロジーパートナーによって、全てのデータがマーケターにビジネスの指針を与えることができる。

この文脈から私が言いたいのは、このデータ・ドリブンなマーケティングの時代の広告業界において、オープンプラットフォームがマーケターの勝利を収める唯一の方法である、ということだ。

以下がその理由である:

マーケターには管理と所有権が必要

自分たちの最も貴重な知的財産を第三者に引き渡す企業はほとんどない。しかし、マーケティングではクローズドプラットフォームを用いると、広告主はその重要なデータの管理をあきらめなくてはならない。
今日、消費者がメディアと関わる方法は数限りなくあるので、そのデータポイントの宝庫を分析することで、オーディエンスバイイング、ターゲティング、キャンペーン戦略を改善する上で役立てることができる。
しかし、ベンダーの、壁に囲まれた庭の中でのキャンペーンからのデータに関しては、広告主は通常それを所有していない。そのため、プロバイダーを変えることに決めた場合や測定に関してセカンドオピニオンが必要な場合は、別のところからデータを取ることができないことになる。まるでホテルカリフォルニアだ。(洋楽 Hotel Californiaの歌詞:”you can check out any time you like, but you can never leave.”より)マーケターは自分のデータを管理し、持ち運びできるようにすべきであり、それぞれ独自の方法がある複数のクローズドシステムに分割しておくべきではない。

急速な変化に対応する柔軟性

消費者は気まぐれである。今日ではスマートフォンにベタ惚れだが、明日にはどうなるかわからない。オープンプラットフォームを使うと、広告業者は新しい技術革新を継ぎ目なく統合したり、能力をすばやく調整したりすることができるので、オーディエンスが新しい習性を示した時すぐに方向転換ができる。クローズドプラットフォームで特定の開発スケジュールの人質になっているより、自分で選択できる柔軟性が必要ではないだろうか。
さらにオープンプラットフォームでは、パブリッシャーと直接関係を持ったり、サプライサイドのプラットフォームを用いることで、新しいタイプの在庫取引を容易にしたり、既存の取り決め (価格設定条件など) を守ったりすることができる。クローズドプラットフォームでは、ベンダーがどの能力を含めるか決め、どのテクノロジーパートナーと提携すべきかを調べ、在庫取引の仕組みや運用に制約がある。

より「賢い」データ

クローズドプラットフォームでは、第三者のデータソースは統合することができない。他のオフラインの重要なデータや当事者データも統合できないことがしばしばある。これではキャンペーンの成果を全体的にかつクロスチャンネルの観点で見たいと考えるマーケターには役立たない。異なるデータ報告を並べて分析するのは、リンゴをオレンジやにんじんと比較するようなものだからだ。
複数のチャンネル、デバイス、在庫需要の型にわたる端から端までのカスタマージャーニーを理解するためには、オープンプラットフォームが必要である。これを使うことで、マルチタッチ機能、リターゲティング、フリークエンシーキャップ、また広く多様なデータソースの領域に自動キャンペーンを最適化することなどの能力をつけることができる。加えて、プログラマティック・バイイング、マーケティングの費用分配、そしてさらに創造的な実行などの決断を促すために使われた分析を、より賢く正確にするための唯一の方法は、より多くのデータを集める事である。

透明性

クローズドプラットフォームでは、全てのチャンネル、デバイス、メッセージ、メディアの型がオーディエンスに与える影響を客観的に測定することができない。この事実を広告業者は立ち止まって考えるべきだろう。
オープンプラットフォームの性質上、これを用いると広告主や代理店は独自のKPIを用いてデータを統合し、パートナーテクノロジーや異種のオーディエンスやメディアにわたる知見を統合することができる。これによってマーケターは、全ての費用やカスタマータッチポイントのパフォーマンスを上げることができ、確実に成功を繰り返すことができるように将来の投資を考えることができる。このレベルの透明性は、マーケターに彼らのキャンペーンの成功や問題点についてのダイレクトな情報を提供するだけでなく、各々のメディアやテクノロジープロバイダーの基準に依存しない検証をするためにも重要である。

広告のテクノロジープラットフォームが成熟を続ける現在、広告業者が今日のテクノロジー選択が、この先何年にもわたってマーケティング戦略に潜在的に影響を与えるだろう。さて、より柔軟性や管理、透明性が広がるオープンプラットフォームを選ぶかクローズドを選ぶか。スピード感と情報の信頼度が重要であるこの業界では、私はオープンに賭けたい。

《ご注意》
本発表内容には、将来に関する記述が含まれています。こうした記述はリスクや不確実性を内包するものであり、経営環境の変化などにより実際とは異なる可能性があることにご留意ください。また、本発表資料は、日本国内外を問わず一切の投資勧誘またはそれに類する行為を目的として作成されたものではありません。