コラム

2015.3.6

ブランドにとってのプログラマティック参入のメリット

Nikki Retallick

ニッキ・レタリック、2014年8月13日

デジタルメディアバイイングの自動化が、ここ数年にわたり増加しており、プログラマティックやRTBの利点も数多く書かれている。自然な流れの一部として、より経験豊かで自信に満ちたブランドには、クライアント側のトレーディングデスクで独自に行う準備ができている。これは良いアイディアなのだろうか?一言で言えば、状況次第だ。

まず考慮されるのがコストである。プログラマティック取引への動きを費用のかかる事業と見ている代理店幹部は多い。しかし、沢山のブランドがすでに、SEO、ペイドサーチ、Facebookマーケットプレイス、アフィリエイト・マーケティングなど、デジタルマーケティングの要素を社内で運用している。入札可能なディスプレイやビデオコンポーネントが追加されることは次のステップとしてごく自然である。これは他とは少し異なるメディアプランニングのスキルセットであるため、トレーニングが必要となるが、ほとんどのベンダーが、全面的なマネージドサービスからセルフサービス式のアカウントに対するアドホックサポートまで、フレキシブルな契約を提供している。

一度に移行する必要はない。ほとんどの代理店のトレーディングデスクがそうであるように、時間をかけて徐々に築かれるものである。そうすれば、最初に代理店がトップ人材を買い込むよりもむしろスタッフにスキルが身につく。いくつかの主要な需要側プラットフォームにあたれば、プランニングで考慮すべき重要事項への理解も深まる。

ディスプレイのダイレクトレスポンス要素から始めるとよいだろう。これまでのように代理店や代理店のトレーディングデスクが手配するよりも格段に優れたROIが早い段階で実現する最善のチャンスが得られる。人員、メディアコスト、代理店手数料が削減され、リソースコストが埋め合わされるはずだが、猶予期間がある。恐らく最初のキャンペーンであらゆる恩恵を享受できるわけではないだろう。

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正しいスキルセットを持つことが不可欠だ。ソフトウェアで自動化されたインソーシングの広告は非常に理にかなっているが、リスクはある。ボタンのクリック1つで媒体費用を無駄にしかねない。細部にわたる細心の注意を必要とし、時間をかけて戦略を学び、それに磨きをかけねばならない。プロセスを通じてナビゲートするには新しいスキルを素早く習得できる賢いマーケターが必要だ。彼らもまた、支えとなる協力的な環境で正しい情報にアクセスし、力を得たと感じて試行錯誤する必要がある。これが、テクノロジーに精通した、データ志向のビジネスが明らかに社内のトレーディングデスクの候補となっている理由である。そうしたビジネスにはすでにしっかりとした経験があるだろう。

大量のデータを持つことも助けになる。プログラマティックプラットフォームを通じて直接利用することができれば、十分な情報に基づくより適切で正確なマーケティングを生み出す力となる。そしてこれはクロスチャネルがもたらす結果を共有し、より迅速になり、実験的なことを試すための絶好の機会にもなる。より豊かなクライアントデータがプログラマティックチャネルと結びつき、マルチタッチアトリビューションと組み合わされることで、獲得重視からライフタイムカスタマーバリューあるいは顧客の復活を最適化するためのマーケティングまでキャンペーンの幅が広がる。

メディアエージェンシーがより一層データカンパニーのようになっていく一方で、いまだにブランドが共有したがらないある種のデータセットがある。これが社内にテクノロジーを持ち込むもう一つの理由だ。実は、これが問題の核心なのである。データとテクノロジーの関係に対するコントロールを強くしていけば、自分自身で取引をするための尺度を持つクライアントは、より透明性と自由が確保できる。

とはいえ、クライアントのトレーディングデスクがやらないのは明らかだ。社内チームがROIを得るには、かなりのレベルの支出額が継続的に必要となる。人生におけるほとんどの事柄と同じように、まったく新しい何かを学ぶ場合、最初の数歩は誰かに手を取ってもらうことが役に立つ。まだプログラマティックなジャーニーを開始していないブランドは、精通していくためにメディアエージェンシーを頼るべきである。同様に、ある程度のテストは行ったが、長い目で見てこれが自分たちのためになるのか納得していないブランドも、エージェンシーのサポートを借りながら投資と学びを続けるべきだ。

しかし、すでにメディアバイイングのいくつかの要素を社内で実施し、プログラマティックが提供する恩恵を直接目の当たりにしたブランドが、なぜ次のステップに進まないのだろうか?テクノロジーが物事を簡単にするはずである。複雑性を幾重にも重ねることしかしていないのであれば、私たちはテックプロバイダーのような失敗を犯している。

最終的に、トレーディングデスクをどこにするかという議論は、エージェンシー層を排除するよりもむしろ、データ、テクノロジー、既存のトレーディングパートナーシップ、透明性をコントロールすることに重点を置くべきである。

デジタルトレーディングの次のステップへの準備が整った大きくて経験のあるブランドにとって、メディアエージェンシーは自分たちが先に進むための助けとして大きな役割を担うものになりそうである。しかし、ますます多くの「インサーションオーダースタイル」のトランザクションビジネスがプログラマティックへの変化の時期を迎えており、また顧客データに最も近いものたちが成功するための有利な立場にいるのだ。

ニッキ・レタリック
クライアント戦略担当シニアディレクター /Adap.tv

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