コラム

2015.3.27

AOLのグローバルCMO、Allie Klineが語るAOLのマーケティング戦略
本コラムは、米国メディアMashableの掲載記事を和訳したものになります。

Allie Kline

AOLのグローバルCMOのクライン曰く、マーケティング業界は”混乱の時代”の最中です。だからこそ、聞き手が何を求めているのかをきちんと把握し、どのようにして滑らかにその変化に適応するかが、これまで以上に重要になっています。

かつて、AOLは郵便受けを持っている全ての人にお試し版のCDを郵送し、それをきっかけに大きな成長を遂げました。その後、特に注目を集めたハフィントン・ポストとTechCrunchの買収、そして顧客への献身的な姿勢に焦点を当てたことが、近年のAOLのマーケティングの根幹に大きな影響を与えています。 私たちは、クラインに近年の業界の特に大きな傾向と現代のマーケティングに合わせて具体的にどのようにして戦略を練っているのか、についてお話を伺いました。

AOLのCMO(最高マーケティング責任者)、アリー・クラインとのQ&A

ハイレベルな話から始めましょう。マーケティングの中で起きている大きな変化や動向についてお話を伺えますでしょうか?

私たちが ”マーケティングの混乱の時代” と呼んでいる大きな変化が3つあります。

  1. コンテンツを消費したり、機器を使用するのは消費者であり、マーケティングを行う人間やメディアでは無い。
  2. 人口統計を見れば分かる通り、年齢という観点だけで見ても習慣や需要の多様性が伺え、そのため、誰にでも合うキャンペーンを行うのは不可能。
  3. ソーシャルチャンネルや、コンテンツエクスペリエンス、統計データのような、新しいマーケティング要素の変化のペースはこれまでになく、今までのどんなプランニングサイクルよりも速いものになっています。

AOLでは我々の消費者ブランドであるAol.comやハフィントン・ポスト、TechCrunchはデータを材料にして、これらの課題に日々取り組んでいます。

当時、AOLは全ての場所や機会を使ってCDを配布していましたね。そのときAOLではかなり大きな変化があったと思います。顧客との関係を保つために、マーケティングや顧客との関わり方へのアプローチをどのように変えてきたのでしょうか?

そうですね、AOLは大きな変化をしてきました。唯一変わらないのは、「カルチャー&コード」、つまりコンテンツ・ビジネスとプログラムを基盤に置いているところですね。

当時は、AOL登録者によって機能する、強力なテクノロジーを備えた囲い込みによるエコシステムを取っていました。

今日では、我々がB2Bのビジネスにおいて取っている"バーベル戦略" にこの「カルチャー&コード」が現れています。バーベルの片側には AOL.com、ハフィントン・ポスト、TechCrunch、Mapquest、MAKERS、Engadgetなどの映像を中心にしたコンテンツがあります。そしてもう片側には技術プラットホームがあります。そこでは最善のマーケティング予算の使い方や収益の生み出し方を決められるように、マーケティングをする人やパブリッシャーがデータを上手く利用する手助けを行っています。

マーケティングをする人もパブリッシャーの方も、私たちのコンテンツや技術を利用したいと感じるのではないでしょうか。例えば、今日だけでも2,000以上ものパブリッシャーに映像コンテンツを届けていますし、私たちの技術は世界中の数々の大手企業でマーケティングをする方々に使われています。

「カルチャー&コード」という遺伝子が、どちらか片方ではなく、その両方が今もなおAOLの中に強く残っているのです。

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顧客と密接な関係をつくるコツは何なのでしょうか? また、どのようにして顧客の寿命よりも長い期間に渡ってロイヤルティーと満足感を持ってもらうのですか?

とても変に聞こえるかもしれませんが、パーソナライズドコンテンツを生み出す秘訣はデータなのです。そう、実質1や0の羅列でしかないデータが、全てのものに人間味を持たせてくれるのです。私たちのコンテンツチームは常にデータを使って、消費者がいつ、どんな場面で、何に一番興味を抱いているかを判断します。私たちから得ている消費者のメディアエクスペリエンスにはかなり幅があります。例えば、AOLオリジナルの映像、MAKERSのようにデジタルでテレビ配信されているプラットホーム、初めての短い朝の番組であるAOL.Riseのような新しい形のものなど、長いものから短いものまでいろいろあります。消費者はこれまでになく変動的になっています。そのため、データを理解し、それ行動に繋げることができなければ、知的財産に基づいたブランドを革新し、造りあげることはできなかったでしょう。

あなたのマーケティング組織は収益の向上にどれだけ影響を与えているのですか? レベニュードライバーかコストセンターの、どちらとして捉えられているのでしょうか? その認識はいつ、どのように変わりましたか?

私たちはレベニュードライバーのマーケティングチームです。それに関しては自分で選ぶものではなく、義務であると思っています。私たち自身が収益と密接に繋がっていると思っていますし、そう考えているからこそ重要なものが見えるのです。 "売上" と "ファイナンス" をマーケティングに混ぜてしまうと創造性を失ってしまうのでは、と懸念する方も多くいると思います。しかし、結果はその逆でした。これらが密接に連携をとり、仕事をすることで、強力でまとまりのあるマーケットを生み出すことができたのです。

最近のあなたのチームの状況を聞かせてもらってもいいでしょうか? マーケティングの変化に合わせて、どのようにしてチームのスキルを適応させてきましたか? どんな新しいスキルが今、もしくはこの3~5年で必要になっているとお考えですか?

最近の一番大きな変化はマーケティングの縦割りの職務をマーケティング機能で再定義したことですね。つまり、全てのグループがメッセージや言葉のやりとりで繋がっているということになります。一つのグループのみで行い、複数のマーケティングやコミュニケーショングループを利用しないような仕事はほとんどありません。そのため、私達は常にメッセージを発信して、こうした仕事に熱意を示す人や最初から協力的な人を探しています。業界は急速に変化しているため、マーケティングチームとその職務、活動での安定感や共同作業ができる優秀な人材の団結力が私たちの最大の武器になっているのです。

先ほどデータについてお話がありましたが、マーケティングの観点から正しい取引や投資をしているか判断するとき、主にどんな数値を判断基準にされますか?

B2Bビジネスやコーポレートブランドの観点で主に意識しているのは2つの数値です。1. 収益 2. チームの満足度と士気ですね。その日1日の仕事で、会社の収入を上げることができたか? 私たちのチームの人は成長し、仕事に熱中できているか? という部分です。

近年、企業間取引(B2B) マーケティング と顧客との取引(B2C) マーケティング に違いはあるとお考えですか? それとも人間との取引(B2H) マーケティングの時代に入ったのでしょうか?

もちろん、違いはあります。例えば、 コンテンツブランドをマーケティングするのと広告をマーケティングするのでは戦術に違いがあります。とはいえ、産業的な視点で概して見れば、単純に顧客層が違うだけですけどね。日に日にマーケティングがデータによって考えられ、様々な手段を使って行われるようになってきたので、これらの違いが曖昧になってきているのは間違いないです。しかし、まだ完全に同じではありません。 AOLができてからかなり長い時間が経ちましたね。

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この会社が経験してきた困難の中で、インターネットブランドの最も古いものの一つであるAOLをここまで成長させたものは何ですか?

私たちの会長兼CEOであるティム・アームストロングが就任してから5年経ちましたが、コンテンツやビデオ、広告技術など、状況を大きく変えるような投資や買収をたくさんしてきました。今日ではアクセスの半分がモバイル端末経由から行われており、現在私たちはビデオでは3番目に、ウェブのコンテンツプロパティとしてはAOLが4番目の規模になっています。私たちの直近5年間でのビジネス判断が、この5年間のAOLブランドの成長の大きな要因になっているのです。そして向こう5年もまた、これまで以上とは言わないまでも同じくらい積極的にビジネスを行うことを業界から期待されています。

“ストーリーテリング” は今流行りの業界用語ですよね。AOLはマーケティングを通してどのようにしてストーリーを伝えますか? ビデオを使って上手くストーリーを伝えたブランドの良い例はありますか? (パッと浮かんだもので)

すごく単純に、ビデオマーケティングとコンテンツマーケティングですね。最近ではどんどん多くのビデオを使うようになってきていますし、うちのセールスチームはコンテンツマーケティングという戦術をどんどん使うようになってきています。コンテンツマーケティングは多少のビデオ、ある程度のネイティブ広告の要素、あるいは少しのコンテンツクリエイティブの要素、それらの組み合わせで行えます。柔軟性、インパクト、深いストーリーを伝えられる能力があるので、私達はこのコンテンツマーケティングのアプローチをかなり気に入っています。

マーケティングのやり方は今後5年でどのように変化しますか? 例えば、どのようにして組織されるか、これから必要になるスキルは何か、予算の配分や、他の部門との関係(特にITと) や、会社の他の部門を通しての仕事のやり方、部門間での収益配分の方法などがどのように解決されるでしょうか。

マーケティングをする人にこれから必要になることは、「カルチャー&コード」、コンテンツ・ビジネスとプログラムを理解することです。例えば、アトリビューション・モデリングとアトリビューション分析の深い理解がなければ、メディア・パートナーや買い手としては大変不利になってしまいます。クリエイティブやコミュニケーション、イベント、取引などでも同じことが言えます。データとクリエイティビティはこれまで私たちが見たこともない形でお互いに繋がっています。そしてそれが変わることはないでしょう。

《ご注意》
本発表内容には、将来に関する記述が含まれています。こうした記述はリスクや不確実性を内包するものであり、経営環境の変化などにより実際とは異なる可能性があることにご留意ください。また、本発表資料は、日本国内外を問わず一切の投資勧誘またはそれに類する行為を目的として作成されたものではありません。