コラム

2015.2.27

あらゆる顧客データがTV業界を変える

Dan Ackerman

ダン・アッカーマン、2014年10月23日、午後3時54分

昨年の3月、Wiredは「ニールセン・ファミリーは死んだ」というかなり挑発的な記事を掲載した。そこでは新たに出現し、TV業界を混乱させている多くのトレンドに触れている。つまり、ソーシャルメディア、セカンドスクリーンの登場から質の良いコンテンツの受け皿となってエミー賞のような授賞式も引き受けているケーブルテレビにいたるまでということだ。

記事の主旨は、TV業界が行ってきた昔ながらの方法は、現代の社会では通用しないということである。TVの未来は、そして今でも多くがそうなのだが、すべてがデータである。データがある特定の番組でどの女優がうまく演じるかを予測し、データが新しいシリーズはどれくらいツイッターで話題にされているかを測定し、そしてNetflixはデータを使って購入するオリジナルコンテンツのジャンルを絞るなどといった具合だ。

どこもかしこもデータ、データ、データだらけである。

そしてデータによって突き動かされるあらゆる実験的な出来事が、年商700億ドルという業界のやり方をあっという間に変えようとしている。こうしたセリフは以前にも聞いたことがある。20年以上前、インターネットが本格化し、ビジネスや文化に革命を引き起こしたときだ。インターネットが形成した結合組織は、かつてないやり方で情報を統合し人間に提供することを可能にしたが、(それより規模は小さいながらも)私たちがメディアの中で到達しようとしているところと似ている。

TV広告は、デジタルおよびソーシャルメディアにおける最先端の広告に遅れを取っているが、急速に変貌を遂げつつある。そしてその来たるべきTVの変化の陰に潜む原動力がデータなのだ。問題は、これが現在のTVネットワーク、MVPD、そして広告主にとって一体どういう意味を持つのかということである。インターネットがもたらした変革からいくつかの教訓を引き出すことができる。

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自動化技術がTV広告を動かす。データはTVにとって「新しい石油」(すでに巷で言われているように)かもしれないが、ユーザがその恩恵を受けるためには効率良く管理する必要がある。ウェブがスタートした頃、利用可能な情報量はディレクトリ内に分類し見つけることができるものだった。しかし、ユーザとウェブサイトの数が爆発的に増加する中ですぐにディレクトリは手に負えないほど大きくなり、情報を整理するための検索エンジンへの道が開かれた。

試聴データ、購入行動データ、顧客データといったTV広告向けに利用可能、適用可能なデータ量は、多くの組織にとって管理容易性の閾値に近づきつつある、またはすでに超えてしまったかもしれない。そのため、自動的にデータを取り込み、整理し、意味をもたせるプラットフォーム技術が求められている。これによりオンラインビデオやモバイルなどその他の関連するメディアチャネルのデータと併せてTV特有の情報も活用できる。データは、素早く効率的に評価、分析、利用されてこそ初めて価値を持つのだ。

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TV広告は消費者に追いつかねばならない。テレビは、あまりに長い間、米国人口の0.00008%のサンプルから抽出した時代遅れな年齢層、性別層に評価されてきた。過去60年間、TVが頼ってきた年齢層、性別層(例:18~49歳の成人)を業界全体で打開する必要がある。そして、売上向上の原動力であることが分かっている心理学的要素、購買行動、興味の特性について買い付け、最適化し、測定する方向へと転換しなくてはならない(例:バスケットボールファンで、特定のスニーカーブランドを好む)。

Initiativeの最高投資責任者であるクリス・メーゲル氏は今年のニューヨーク・アドバタイジングウィークで私にこう語っている。「18~34歳の男性、35~44歳の女性は1つの家族の集まりであって、1人の試聴者とはいえない」

セットトップボックスデータやその他の視聴ソースの登場で、マーケターに新たな機会が生まれている一方、データ管理へのオープンアプローチが必要である。これはまったく異なるシステムでお互いに伝達しあうことを可能にし、データシグナルをウォールドガーデン内に閉じ込めるのではなく、そのポータビリティを確実にする。データは総体的に分析されることでその価値が急激にあがるのだ。

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変化は避けられない。テレビ業界の自動化について多くの人が楽観的な見通しを示す一方、売買のプロセスで大きな役割を担うプログラマティックな技術の概念を嘲笑する者もいる。後者の考えを持つタイプの1人としてよく知られているのが、科学者のクリフォード・ストール氏である。1995年の著書やNewsweekの記事の中で、ウェブに移行していく商取引やビジネスを「ばかげている」と評した。言うまでもなく、Amazon、eBayなどは彼に対する反証となっている。今にして思えば、人々と繋がるための非常に洗練された技術やインターネットの力がオンラインによる商取引を大きく成長させるのも当然のことだ。

将来どうなるかは誰にも分からないが、ご存じのようにTVは変化しつつある。それはすでに始まっている。HBOやCBSなどのサブスクリプションTVサービス(※専用アダプタを使って視聴する形式の有料放送)が発表したのがそれを裏づけるよい例だ。またこれはビジネスサイドでも起きており、マーケターやパブリッシャーはこれまでになくデータを活用して収益をあげている。

私たちはまだまだスタート地点にいるが、インターネット革命が私たちの行く先を示してくれている。デジタルとTVとが収束に向かうワクワクするような旅に幸あらんことを願う。

《ご注意》
本発表内容には、将来に関する記述が含まれています。こうした記述はリスクや不確実性を内包するものであり、経営環境の変化などにより実際とは異なる可能性があることにご留意ください。また、本発表資料は、日本国内外を問わず一切の投資勧誘またはそれに類する行為を目的として作成されたものではありません。