コラム

2015.1.30

CMOたちがCESで議論していること: 4つのトレンド

Bob Lord

毎年1月、全米家電協会 (CEA) が主催し、ネバダ州ラスベガスで開催される見本市であるコンシューマー・エレクトロニクス・ショー※通称「CES」(セス)が今年も開催されました。ショーでは多くの新製品が発表され、プロトタイプが展示され、全世界のテクノロジーに関係する人々の注目を常に集めています。昨今では単なる技術のショーという領域を超え、マーケティング担当者にとっても、テクノロジーに精通したオーディエンスにリーチするために利用できるチャンネルやアプローチとして捉えられ、この業界とも切っては切れない関係になりつつあります。

AOL Platforms Global CEOであるBob Lordは、コンシューマー・エレクトロニクス・ショー(CES)開催に合わせ、Advertising Ageにこのようなテクノロジーの進化がマーケティングに及ぼす影響について寄稿しています。

アンバンドル化の到来

ボブ・ロード著、2015年1月8日発表

エレクトロニクスは、ますます人々が周りの世界と関わり合うための媒体となってきています。今週米国ラスベガスで開催されたコンシューマー・エレクトロニクス・ショー(CES)では、ウェアラブル端末から、インターネットに接続しアプリケーションソフトを介して操作する家電製品、技術的に考え得るあらゆる機能を備えた自動車まで、最新のエレクトロニクス製品が展示されました。

しかし、こうした消費者向けの製品における技術革新は、マーケティング担当者にとってどのような意味を持つのでしょうか。それは、マーケティング担当者が、対象とするオーディエンスとともに進化していく必要があることを意味しています。MRY社のデビット・バーコウィッツ氏が今週初めにこのコラムで言及したように、CESはいまや新たな電子機器の発表の場というより、人々がどのように時間を使いたいのかを知ることができる場となっています。これは、マーケティング担当者にとっては、テクノロジーに精通したオーディエンスにリーチするために利用できるチャンネルやアプローチが広がり、形を変えつつあることを意味しています。消費者のテクノロジー志向について行けず、あらゆる関連データを活かすことができないブランドは、取り残されていくでしょう。

このような状況において、マーケティング活動に今まさに影響を及ぼしつつある以下の4つのトレンドが、CESで明らかとなりました。

1. テクノロジーがより個人の身近になる。

フィットネスバンド、スマートウォッチ、スマートグラスなどのウェアラブル端末の人気が高まっており、より高機能な製品が登場してきています。「スマートウェア」でさえ同様の傾向です。それらの製品を使うと、車のキーの置き場所からランニング中の4マイル地点の心拍数まで、あらゆるものをモニターすることができます。

これらの製品で得られたデータが消費者の意思決定を左右するように、企業がオーディエンスの行動パターンを踏まえてマーケティング戦略を練り上げる際には、こうしたデータが一助となります。TVにおいても、視聴者がスマートフォンやタブレットPCを介してリアルタイムで番組に参加し、企業がそうした視聴者との対話に加わるといったケースは見受けられます。このような新たな端末を介した参加型体験により、さらに消費者と身近にコミュニケーションすることによって、マーケティング担当者は最も適切なメッセージを適切な時期、適切な場所から発信することができるようになるでしょう。

2. すべてが繋がる。

スマートカー、 スマートサーモスタット、スマート家電、スマートペットモニター。今年のCESは、家庭(または庭や車庫)にあるすべてと言っていいくらいの機器を繋げることができることを実証しました。スマート歯ブラシやブルートゥースで操作するゆりかごが必要かどうかという結論はまだ出ていないかもしれませんが、「モノのインターネット」の範囲が広がり続けていくのは明らかです。

日常生活の多くの側面を手助けするインターネットによる自動化が進むにつれ、消費者向け製品のマーケティング担当者が注目すべきことは、インターネットと繋がることにより、自動補充機能やモバイルアプリのアラート機能など、顧客のロイヤルティを高め、売上高を伸ばすサービスの提供が可能となることです。

3. TVのデジタル化とアンバンドル化が到来。

丸められる薄型スクリーンや4K TVには、CES会場に足を運びたくなるような、「あっと言わせる」要素が確かにありました。しかしながら、今年はTVのハードウェア自体は、コンテンツやサービスほど重要ではありませんでした。

デジタル技術が従来のTVを飲み込むと誰もが予想してきた一方で、TV業界は自らを刷新し、インターネット接続が視聴者のTV視聴傾向に及ぼす影響を受け入れようと躍起になってきました。米衛星放送大手ディッシュはCESで、「スリングTV」のサービスを開始することを発表しました。同サービスは、スポーツ専門局ESPNのような人気の高いTVチャンネルを含み、(有料TVサービスを解約した)コードカッター、(有料TVサービスを契約したことがない)コードネバー、(チャンネル数の少ない安いサービスに移行した)コードシェーバーをTVの勢力圏に連れ戻そうとする大胆な試みであり、CBS、HBO、ESPNが最近発表した同様の試みに追随するものです。

これはTVのデジタル化とアンバンドル化の始まりです。何年もかかると思われていたものですが、足元で始まりつつあり、TVのあらゆる側面をインターネットに繋げ、視聴パターンに関するデータを、年齢や性別という範疇を超えて解明しようという試みは、マーケティング担当者にとって大きな意味があります。TVに似た環境下で、データに依存し、自動化したマーケティング戦略を活用することにより、マーケティング担当者はこれまでより遥かに的確に、対象とするオーディエンスにリーチし、彼らと繋がることができるでしょう。

4. データがすべて。

TV業界で今起こっているこうした動きから、熟慮を重ねたデータ戦略が最高マーケティング責任者(CMO)にとっての最優先事項でなければならない理由がよくわかります。消費者の行動パターン、メディア媒体の消費傾向、マーケティングキャンペーンの結果に関する情報は、これまでにないマーケティング手法を形作り、広告枠の購入方法からメッセージの作成、さらには独創的な業務執行に至る、あらゆるマーケティング活動に影響を及ぼす可能性があります。

消費者が使うさまざまな端末を介してあらゆる方向から企業が入手するデータについて、考慮しなければならない問題が3つあります。所有権、利用可能性、収益化です。データを「壁で囲まれた庭」に閉じ込め、第三者に管理を委ねてしまうと、その価値が減少してしまいます。マーケティング担当者は、キャンペーンから抽出し、センサーでモニターし、デバイスを介して得られた全てのチャンネルに渡るあらゆるデータを、総合的に分析する必要があります。そうすることにより、作成するメッセージ、広告枠を購入するメディア媒体、繋がるオーディエンスに関する最良の意思決定を行うことができるのです。

CESに展示される多種多様な新製品やサービスをチェックするのは、いつも大変興味深いことです。この点に関しては、3Dプリンターに触発されたメーカーの動き、自動車業界発の驚くべき新技術など、私が話したいことも尽きることがありません。

しかし、そうした技術革新がどんなものであれ、CMOへの最も重要なアドバイスは、会社が成功するのに欠かすことのできない消費者に合わせ、彼らとともに進化する準備をするべきだということです。

《ご注意》
本発表内容には、将来に関する記述が含まれています。こうした記述はリスクや不確実性を内包するものであり、経営環境の変化などにより実際とは異なる可能性があることにご留意ください。また、本発表資料は、日本国内外を問わず一切の投資勧誘またはそれに類する行為を目的として作成されたものではありません。